
以前の記事で、トレーニングを行う(作る)時の基本的な原則の中から特異性、過負荷、漸進性という3つを紹介しましたが、他にも重要なポイントがあります。これから紹介する3つの事柄はランニングに関する多くの情報に惑わされることなくトレーニングを行うために重要なので、しっかりと内容を理解してトレーニングに活かしてください。
1.トレーニングを行う目的をはっきりさせる(意識性)
トレーニングを効果的に行うには、その目的をしっかりと理解して行わなければなりません。何のためにそのトレーニングを行うのかがはっきりしていなければ、いつ、どんなトレーニングを行えばいいのか、そのトレーニングに主にそんな効果を期待するのかが分からないからです。そういったことが不明瞭なまま闇雲に走行距離だけを重ねても、走り込んだ割には結果が伴わないということになったり故障や怪我のリスクが高くなります。
人間誰しも意味も分からず厳しいトレーニングをこなすのは難しいものです。「大会8週間前からの距離走をより速いペースで行えるように、HIT(高強度インターバルトレーニング)を行い酸素摂取能力のレベルを上げておく」と、今日行うトレーニングの目的をはっきりさせておくことでトレーニングに臨む姿勢も変わってくるはずです。
また、今日のJOGは血流を促進して筋肉をほぐし、疲労をなるべく早く取り去るためのアクティブレストだと意識していれば、帳尻合わせに距離を伸ばして却って疲労を溜め込むこともないと思います。
もう少し細かく言うと、ウォーミングアップ⇒メイン練習⇒クールダウンという一連の流れのなかでもウォーミングアップ/クールダウンを行う目的まで理解して行うことができれば、その日のメイン練習の内容を考慮したウォーミングアップ/クールダウンが自然にできるようになるはずです。
2.そのトレーニングは継続可能かどうか(反復性)
「継続は力なり」と言われる通り、トレーニングは繰り返し行うことでその効果が現れてくるものなので、継続可能かどうかはトレーニングを行う上で重要なポイントになります。
継続可能かどうかは主に次の3つの要因によって決まります。
①スケジュール的に継続可能か
実業団や大学の陸上競技部のランナーであれば週に6日、1日2回のトレーニングをしますが、週5日、1日8時間の仕事をしながらトレーニングを行う市民ランナーにとって彼らと同じトレーニングをこなすのは無理があります。3時間を切るためには月間300km走らなければならないという考えよりも、『限られた時間でどんなトレーニングができるのか』という風に考えてトレーニングすることが重要です。仕事や家庭とのバランスと優先順位を考えて、たとえ急な用事が割り込んだり体調がよくないときがあっても柔軟に建て直すことができるよう余裕を持ったトレーニングスケジュールを立てましょう。
②モチベーションが持続可能か
きついだけのトレーニングを続けられる人は少ないと思います。トレーニングは反復することでその効果を発揮し始めるので、繰り返し続けられるような内容でなければなりません。距離走を行うときには毎回同じ公園の周回コースではなく海沿いの国道で景色を眺めながら走ったり、競技場トラックでのインターバルトレーニングを里山でのヒルトレーニングに変えてみたりと、トレーニングになかにも楽しみを見つけられるような工夫が必要です。
③継続可能な内容(負荷)となっているか
トップランナーが毎週30km走を行っているからと同じことをやろうとしても上手くいくとは限りません。30km走の負荷が今の自分にとって過大であればそのあとに予定していたトレーニングがこなせなくなってしまいます。毎週の30km走をこなせたとしても疲労を溜めた状態でレース当日を迎えることになったら何のためにトレーニングしてきたのか分かりません。以前の記事で書いたように段階的に負荷を変化させレベルアップしていけるようにしましょう。
3.今の自分に合ったトレーニングをしているか(個別性)
トレーニングは100人いれば100通りのやり方があります。トレーニングのやり方に唯一絶対の正解はありません。雑誌や書籍にトレーニング方法やメニューが載っていてもそれは一つの例にすぎません。あるトレーニング方法で成果を挙げたランナーがいてもそれもやはり一例です。真似をしても成功するかどうかは誰にも分かりません。
自分に合ったトレーニングは自分で見つけ出すしかないのです。一つのレースで上手くいった方法でも年齢や環境によって身体の反応は変わっていきます。上手くいった理由や失敗した原因を分析して負荷やサイクルを変えてみる等、試行錯誤を続けることが唯一絶対の正解です。
今回はトレーニングを長く続けていくための軸になるポイントを紹介しました。トレーニングが上手くいかなかったり停滞したときには一度振り返ってみてください。